欧州司法裁判所、ノルドストリーム社のEUガス指令提訴を棄却 例外認めず

欧州司法裁判所、ノルドストリーム社のEUガス指令提訴を棄却 例外認めず

ウクルインフォルム
欧州連合(EU)における最高裁判所に相当する欧州司法裁判所は、ノルドストリームAG社とノルドストリーム2AG社による、第三国からのガスパイプラインにEU法規範を適用するEUガス指令に関する提訴を棄却した。

20日、ルクセンブルグの欧州司法裁判所が判決を公開した。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。

発表には、「EUの裁判所は、ノルドストリームAG社とノルドストリーム2AGによる、域内天然ガス市場の複数のルールを第三国からのガスパイプラインに適用する指令第2019/692に反する行為を許容できないと宣言する」と書かれている。

この決定は、独露間新ガスパイプライン「ノルドストリーム2」が完成した場合であっても、一切の例外を受けることはなく、欧州域内市場の第3エネルギー・パッケージの共通ルールに完全に従わなければならないことを意味する。

指令第2019/692(通称EUガス指令)は、2020年2月24日に発効済み。この指令は、とりわけ、天然ガスの精製・供給・輸送実行の企業を分割(アンバンドリング)することを定めている。また、ガスパイプラインの輸送能力の半分に対して第三者企業をアクセスさせなければならない。

つまり、このルールにより、露ガスプロム社は、現在建設中の独露間新ガスパイプライン「ノルドストリーム2」に対する独占的なコントロール権・利用権を失うことになり、パイプラインの輸送能力の半分しか利用できなくなる。

また、これに先立ち、15日、ドイツの独立規制組織Bundesnetzagenturは、新独露間ガスパイプライン「ノルドストリーム2」プロジェクトを欧州連合(EU)ガス指令の例外としない最終的決定を採択していた

天然ガスパイプライン「ノルドストリーム2」は、ロシアからドイツへ、ウクライナを迂回し、バルト海を通って建設されているものである。全長1200キロメートル以上であり、完成すると年間550億立方メートルのガスを送ることが可能となる。同パイプラインは、ロシアのガスプロム社と欧州の諸企業(Engie、Uniper、OMV、Shell、Wintershall)が共同で建設しているもの。ウクライナ、米国、ポーランド、バルト諸国は、ノルドストリーム2の建設に反対を表明している。

ドナルド・トランプ米大統領は、米国議会が採択した2020年度国防権限法案に署名。同法には、露独間新パイプライン「ノルドストリーム2」建設に参加する企業への制裁が含まれる。制裁は、米国への渡航禁止、米国国内の資産凍結が想定している。

なお、2019年、EUガス指令への修正が採択されており、同指令により欧州市場へのガス供給に用いられるガスパイプラインの独占的使用が制限された他、そのガスパイプラインへの第3企業のアクセスを可能とする内容が定められている。同規定は、海上に設置されたものを含め、EU域内へ向かう、あるいは、EU域内から域外へ向かう全てのガスパイプラインに適用されていた。


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