【独露ガス・パイプライン】ウクライナは独にではなく露の計画に対抗=副首相
クレーバ副首相がインターファクス・ウクライナ通信へのインタビュー時に発言した。
副首相は、「私たちとドイツの同僚の間には非常に正直な立場がある。(中略)私たちは正直かつ公に、このプロジェクトに対抗したのだが、それはこの問題が私たちの戦略的国家安全保障の問題だからである。私たちは、ドイツのパートナーたちの不満を理解しているが、私たちは本件においてドイツに対抗したのではなく、ロシア連邦による、EUへのガス輸送構造からウクライナを排除する計画に対抗していたのだ。それは反ドイツ政策ではなく、親ウクライナ政策なのであり、ガス分野のロシアの攻撃的行動から守るためのものである」と説明した。
また、副首相は、年末に締結されたウクライナ経由のロシア産天然ガスのEU市場への輸送契約について、ウクライナは新契約と米国の対ノルド・ストリーム2への制裁により、自身のエネルギー安全保障を強化し、ウクライナを迂回するガス・パイプライン建設から受ける被害を最小化するための戦略的時間を獲得したのだと指摘した。
同時に副首相は、ノルド・ストリーム2の完成は避けられないと予想し、建設が終わるのは時間の問題に過ぎないとしつつ、同時に、その完成までの時間にウクライナのガス輸送システムが活用されると発言した。
加えて副首相は、「また、私たちは本件において、金銭を受け取るし、EUとは良い関係を保っている。加えて、私たちは、ガス輸送分野をはじめとする、ガス分野の改革と近代化を終わらせる。それがガス輸送契約の主要な成果なのだ。更に、露ガスプロム社は、初めて仲裁裁判判決の履行に同意しウクライナに30億ドルを支払ったのだが、この30億は無駄ではない。この支払いはガスプロム社にとっての極めて重要な前例である。仮に彼らが再び詐欺やルール外のゲームをしようとしたとしても、既に判決の実質的な承認とその履行という前例があるわけで、その前例が抑制ファクターとなるのだ」と説明した。
その他、副首相は、今回のロシアとの輸送契約がロシア国内でどのように受け止められているか特別に分析を依頼したとし、その結果、ロシア国民は非常に心配しているとし、「ウクライナ人に30億ドル支払うだなんて、どういうことだ。彼らをあらゆるところから切り離すと約束していたくせに、彼らはまた私たちのガスを輸送するのか」といった反応が見られると指摘した。
その上で、副首相は、「私は輸送契約に関するロシアの人々の反応に満足している。同契約は現実的なものであり、システムを安定させ、ガス戦争を回避させるものであるが、同時に、私たちの利益を守りつつ、私たちがエネルギー安全保障を強化するための決定を落ち着いて採択するのに必要な追加的5年間を確保するものなのだ」と発言した。