ウクライナ・NATO委員会共同声明全文

ウクライナ・NATO委員会共同声明全文

ウクルインフォルム
10月31日、キーウ(キエフ)にて開催されたウクライナ・NATO委員会会合では、結論文書として共同声明が採択された。

ウクライナ外務省がウェブサイトに共同声明全文を掲載した。

NATO・ウクライナ委員会共同声明

2019年10月31日 キーウ市

1.今日、ウクライナ・NATO委員会は、キーウにて、ヴォロディーミル・ゼレンシキー大統領とウクライナ閣僚会議メンバーの参加を得た上で、ウクライナと同国周辺の治安状況、国内改革のプロセス、ウクライナ・NATOパートナーシップの進展の議論のために集まった。私たちの会談は、北大西洋理事会(NAC)のウクライナ訪問の一環で開かれた。NACもまた、ウクライナ最高会議のメンバーや市民社会代表者たちと会談した。今回の訪問は、NATO側からのウクライナの国際的に認められた国境内での主権と領土一体性への不変の支持についての強力なシグナルである。

2.今日、私たちは、著しい懸念の対象であり続けているウクライナ東部の治安情勢について協議した。NATO加盟国は、ゼレンシキー大統領のウクライナ東部紛争の平和的解決へのコミットメントを歓迎する。私たちは、全ての当事者が完全に維持すなければならないミンスク諸合意にのっとった民主的手段による紛争解決への私たちの支持を再確認する。ロシアは、ミンスク諸合意に署名した当事国として、この点において特別な責任を負っている。私たちは、「ノルマンディ・フォーマット」、三者コンタクト・グループ(TCG)、欧州安保協力機構(OSCE)の努力を支持する。私たちは、ロシアに対して、武装集団への政治的、財政的、軍事的サポートを止め、ドネツィク・ルハンシク両州への軍事介入の実施を止め、軍、機器、傭兵をウクライナ領から撤収し、共同管理調整センターへと戻るよう要請する。私たちは、ロシア・ウクライナ間国境を含めた領土へのOSCE特別監視団(SMM)による完全で、安全で、障害のないアクセスの重要性を強調する。

3.私たちは、スタニツャ・ルハンシカ周辺の軍の引き離しを歓迎し、別の定められた領域での撤退手続きの適用努力をミンスク諸合意完全履行へ向けた一般努力の一部として支持する。NATO加盟国は、マレーシア航空機MH17撃墜共同捜査チーム(JIT)の捜査プロセスにおけるウクライナの長期にわたる努力を歓迎する。MH17撃墜問題においては、国連安保理決議第2166にのっとり、真実、責任、正義が確立されることが重要であり続けている。

4.私たちは、ロシアによるクリミアの違法併合を強く非難するとともに、それを決して認めることはない。クリミアはウクライナ領である。私たちは、ロシアに対して、クリミアのコントロールをウクライナ返還することを要請する。私たちは、クリミアにてロシアの軍事潜在力が継続して大規模に増強されていることを非難する。それは、地域におけるロシアの攻撃的行動の一般モデルの一部となっている。NATO加盟国は、クリミアにおけるクリミア・タタール人やその他の地元コミュニティ・メンバーを含む全てのウクライナ国民に関して、ロシア実質的政権による人権侵害を懸念している。私たちは、ロシアに対して、国際監視機関にクリミア領へのアクセスを与えるよう要請する。ウクライナにおけるロシアの違法行為に対するNATOの対応は、制裁発動をはじめとする国際的努力全般と一致しており、またそれをサポートするものである。ロシアの行動に、国際法・国際義務・責任を遵守することを示すような、明確かつ建設的な変化がない限り、『通常の関係(business as usual)』を行う状況はあり得ない。

5.私たちは、24名のウクライナ軍人と11名のロシアにて拘束されていたその他の収監者が、ウクライナとロシアが同意した被拘束者同時交換の結果として、帰還したことを歓迎する。これは、正しい方向へのステップである。私たちは、ロシアに対して、だ捕した船舶を返還し、アゾフ海におけるウクライナの港への障害のないアクセスと航行の自由を保障するという国際的義務を遵守するよう要請する。2018年12月22日付国連総会第73/263決議にのっとり、私たちは、ロシアに対して、如何なる前提条件も付けずに、違法に拘束され、国際法の要件を遵守しないまま断罪されているているウクライナ国民、及び、クリミアからロシア連邦へ国際的に認められた国境を通じて移送あるいは追放された全ての人物を速やかに解放し、ウクライナへ帰還させるよう要求する。

6.NATO加盟国は、2019年のウクライナの平和で競争のある選挙が成功裏に実施されたことを高く評価する。その選挙結果はウクライナ国民の意思を反映している。ウクライナの有権者は、新しい政府と議会に、広範な改革を継続する更なる可能性を提供した。その改革は、ウクライナが負う国際義務とコミットメントに完全に合致せねばならない。汚職との闘いを含めたこれら改革の成功は、繁栄して平和で、一般価値、人権、マイノリティへの権利の尊重の原則、法の支配にコミットした欧州的民主主義に堅固に根差したウクライナの基盤を作る上で決定的な意味を持つものである。これに関連し、NATO加盟国は、ウクライナが、NATO原則・基準履行という目的達成のために、ウクライナ・NATO委員会の枠内にある手段、特に年次ナショナル・プログラムを、可及的速やかに利用することを望んでいる。2017年9月に最高会議により採択された教育法に関係する点では、NATO加盟国は、ウクライナに対して、ベニス委員会の勧告と結論を完全に適用するよう要請する。ウクライナは、これを履行する準備があると表明している。

7.NATO加盟国は、ウクライナの安全保障・国防分野改革において、既に達成された成果を歓迎するとともに、2018年の国家安全保障法の履行を含め、更なる進展を期待している。安全保障・国防分野の文民コントロールと民主的監査に関する法の条項は、重要な欧州大西洋規範である。NATO加盟国は、ウクライナに対して、国家安全保障法の運用を保障する追加法の採択・適用を要請する。それは、保安庁(SBU)法、議会監査の新委員会法、情報法、国家機密法、防衛調達法である。NATO加盟国は、ウクライナが自らの安全をよりよく確保できるようになるべく、包括的支援パッケージを通じたものを含め、安全保障・国防分野改革の議題に更なる恒常的サポートを与えることにコミットし続けている。今日、私たちは、包括的支援パッケージ第3レビューを採択しており、今後も、同パッケージが、欧州大西洋原則、ベストプラクティス、NATO基準の導入及びNATOとの緊急相互互換性向上のための改革目的に合致するようにしていく。この点では、NATO加盟国のNATO目的別基金への拠出が大きな役割を果たしている。

8.黒海地域は、NATO及びそのパートナー国にとって戦略的意味を有している。NATO加盟国は、黒海地域の安全保障に関して、NATO・ウクライナ間対話と協力が発展していることを歓迎する。2019年4月のNATO各国外相の決定に応じて、NATO加盟国は、ウクライナ海軍との協力、状況認識、港湾訪問、訓練、情報交換を含め、ウクライナへの実質的サポートを強化してきた。昨日、私たちは、オデーサに寄航したNATO加盟国の常駐海軍、及び、ウクライナ海軍、海軍アカデミー、NATOのサポートを受けている二つの機関のメンバーと面会した。NATO加盟国は、ウクライナ・NATOハイブリッド戦争対抗プラットフォームの枠内での活動強化を通じたものを含め、ハイブリッド脅威に対するウクライナの強靭性強化におけるウクライナの努力を引き続きサポートしていく。

9.NATO加盟国は、NATO作戦、NATO即応部隊、NATO訓練へのウクライナの甚大な貢献を高く評価している。私たちは、ウクライナのコミットメントと欧州大西洋安全保障に貢献できるという能力を示す同国の努力を歓迎している。この貢献はまた、私たちの緊急互換性のレベルを高めている。NATO加盟国は、ウクライナによるパートナーシップ緊急相互互換性イニシアティブの一環での協力深化の可能性発展への関心を認めたのであり、NATOは、ウェールズ、ワルシャワ、ブリュッセルでのNATO首脳会談で採択されてきた決定の文脈において、本件を審議する。

10.ウクライナによるNATO加盟への希求を再確認する中で、私たちは、ブカレスト首脳会談及びそれ以降の首脳会談にて採択された私たちの決定を今後も遵守していく。私たちは、ウクライナ・NATO委員会の下、私たちの特別パートナーシップの発展・適用のために作業をしていき、それが、安定して、平和で不可分の欧州を保障する上での貢献となる。独立し、主権を有し、安定し、一貫して民主主義と法の支配にコミットするウクライナは、欧州大西洋空間の安全にとっての鍵となっている。

11.NATO加盟国は、訪問の際のウクライナの温かなホスピタリティに感謝を表明した。


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