ムジェンコ前参謀総長、イロヴァイシクの悲劇を説明「過ちはロシアが攻撃しないと信じたこと」

ムジェンコ前参謀総長、イロヴァイシクの悲劇を説明「過ちはロシアが攻撃しないと信じたこと」

ウクルインフォルム
ヴィクトル・ムジェンコ前参謀総長(2014年7月~2019年5月)は、2014年の独立記念日に向けた軍事パレードを準備・実施していた時点では、東部のイロヴァイシクにて、ウクライナの部隊がロシア正規軍に包囲されているという情報は入ってきていなかったと発言した。

ムジェンコ前参謀総長が、ラジオ・スヴォボーダ通信へのインタビュー時に発言した

ムジェンコ前参謀総長は、「今は、既に情報がある。(2014年8月)23、24日、ロシアの部隊がイロヴァイシクの(ウクライナの)部隊を包囲していたのだ。ところで、包囲はイロヴァイシクだけではなく、ルハンシク方面でも起きていた。しかし、23日時点はまだ、そのことに関する情報は一切なかった。私たちも大統領も、全く情報を持っていなかったのだ」と発言した。

同前参謀総長は、個人的には独立記念日に軍事パレードを行うのには反対だったが、しかし、実施に向けた準備が始まり、8月24日の本番まであと数日となったときにポロシェンコ大統領(当時)から、パレードをすべきか否か問われた際には、ムジェンコ前参謀総長は、準備を行ったなら、実施すべきだ、それは抵抗の準備があることを見せることになると答えたという。前参謀総長は、インタビューにて、「そして、私は今も、それは正しかったと思っている」と発言した。

ムジェンコ前参謀総長は、8月24日、キーウ(キエフ)市内での軍事パレードの後、同日午後になって、何かしらの非常の事態が起きていることが分かったと述べた。ムジェンコ前参謀総長には、ロミハイロ大佐が、自身の目で、識別用標章のない車列を目撃したと報告したとのことで、その際、前参謀総長が、その車列は(ロシア連邦の)正規軍か、と尋ねると、同大佐は、種々のことから判断するにはどうも(ロシア)正規軍だが、識別用の標章はつけておらず、「DPR(ドネツィク人民共和国)」の旗を掲げていると答えたのだという。

ムジェンコ前参謀総長は、その際、ウクライナ軍人の生命を守るべくあらゆる方策を採ったのだと明言する。同前参謀総長は、「これまでにも述べたことがあるように、一つの策は、イロヴァイシクに残ること、もう一つの策は、ハルツィジクを通って北に抜けること、高所に上り、第25旅団の部隊と合流することであった。それもまた状況脱出の手段であった。私は、その策が被害を最小限にとどめ得たものだったと思っている」と述べた。

同前参謀総長は続けて、「もう一つの策が、広域の前線に出て、南のマリウポリ方面に抜け出ることであった。しかし、実際には、あのような結果になったのだ」と述べ、実際にイロヴァイシク包囲網から抜け出るために採られた決定は、「ロシア人たちと合意したルートを通って脱出する」ものであり、それは「緑の回廊、保証された脱出ルート」を通った包囲からの脱出であったと説明した。

ムジェンコ前参謀総長は、「『緑の回廊』は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領のイニシアティブであり、同大統領は、ロシア人たちがこの『緑の回廊』を与える準備があると述べたのだ。そのため、(編集注:イロヴァイシクで負ったウクライナ軍の大きな被害の)基本的な罪は、合意を破ったロシア人たちにある。彼らが、保証を拒否し、全ての国際規範に違反したのだ。それは、ロシア連邦の犯罪である」と強調した。

ムジェンコ前参謀総長は、ウクライナ側の過ちは、(編集注:緑の回廊を通じた包囲網からの脱出の際に)攻撃されることはないと思ってしまったこと、ロシアが保証を破ることがないと期待してしまったことであると指摘した。

ムジェンコ前参謀総長は、イロヴァイシクの件に関しては刑事捜査が行われており、分析結果もあるとし、治安機関が判断するものだと発言した。

なお、8月29日は、2014年同日、ドネツィク州イロヴァイシクにて、ウクライナの諸部隊が包囲からの脱出を始めた日である。ウクライナに侵攻していたロシア連邦正規軍は、その時点までに、イロヴァイシクにてウクライナの諸部隊を包囲しており、その際ウクライナ側は、ロシア側と脱出ルート(緑の回廊)について合意。しかし、ロシア正規軍は、ウクライナ部隊が回廊を通じて包囲を脱出している最中に、合意を破って攻撃を開始した。これにより、公式データでは、366名のウクライナ軍人・治安機関職員が死亡、429名が負傷し、更に128名が人質となり、158名が行方不明となっている。

なお、本年8月24日、ヴォロディーミル・ゼレンシキー大統領は、8月29日をウクライナの独立、主権、領土一体性のために亡くなった「ウクライナ防衛者追悼日」と定める大統領令に署名したことを発表している。


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