汚職対策捜査機関、不当電力料金設定捜査終了の決定を提訴
28日、NABU広報室が発表した。
発表には、「『ロッテルダム・プラス』捜査終了の決定は、法の支配の基本に反するものであり、そのためNABUは、検事総長とSAP長代行を相手に提訴を行う」と書かれている。
NABUはまた、本件捜査は最終段階にあったのであり、NABU捜査官は本件の起訴と容疑者の罪の証明のために必要な証拠を全て集めていたところだったと指摘した。
発表には、捜査の一環ですでに6名に容疑が伝えられており、これらの容疑者の行為により188億7000万フリヴニャの損害が出ていたと書かれている。
NABUはまた、今回決定の2日前には同捜査を今後どのように進めるのが良いかにつきSAPとの会議で議論していたところだったが、「本件を裁判所に起訴する代わりに、捜査官にとって不可解な理由で、SAPは同捜査を終了するという予想外の決定を採択した。決定の際は、あたかも十分な証拠がなく、その証拠を獲得する可能性もなく、罪人を罰することが不可能だからと説明された」と説明した。
NABUは、今回のSAPの本件終了の決定につき、全くもって同意できないとし、本件はウクライナにとって重要な捜査であり、政権幹部も繰り返し捜査終了が必要だと主張してきたものだと指摘した。
これに先立ち、28日、複数報道機関が、SAPがロッテルダム・プラス捜査を終了したとする関係者の発言を伝えていた。
2016年、エネルギー・公共サービス分野国家規制実施国家委員会が、いわゆる「ロッテルダム・プラス公式」といわれる「電力予想市場価格設定規定の確定」決議が採択されることで、電気市場価格設定の新しい手法が定められた。これは、火力発電所の電力を市場に売却する際の価格であり、そこには石炭の価格も反映されていた。同価格設定規定では、石炭火力発電のための石炭価格に「ロッテルダム港での石炭価格とウクライナへの輸送料」が上乗せされていた。マスメディアは、火力発電企業がこの公式を利用して電力販売の料金を不当に引き上げていると指摘していた。
2017年3月、NABUは、エネルギー・公共サービス分野国家規制実施国家委員会幹部による「ロッテルダム・プラス」公式を通じた権限乱用に関する裁判前捜査を開始。2019年8月8日、NABUは、エネルギー・公共サービス分野国家規制実施国家委員会の元委員長であるドミトロー・ヴォウク氏他5名に対して、本件にて電力消費者に188億7000万フリヴニャの損害を出したとの容疑を伝達していた。