オランダにてマレーシア航空機撃墜事件の公判開催

オランダにてマレーシア航空機撃墜事件の公判開催

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ウクルインフォルム
8日、オランダのスキポール裁判コンプレクスにて、2014年7月のウクライナ東部上空におけるマレーシア航空機MH17撃墜事件の公判が再開された。

ウクルインフォルムのハーグ特派員が伝えた。

今回の公判は、6月8日から7月3日まで開催される予定。また、新型コロナウイルス感染流行により、裁判所に入れる人数は制限されている。今回は、判事、検察官、弁護士、遺族、メディア関係者など100名が内部へと通された。また、公判の様子はオンラインでも公開された。

公判では、裁判長のヘンドリック・ステンハユス氏は、同日の公判に容疑者が出廷していないことを指摘しつつ、それによって公聴プロセスが妨害されることはないと指摘した。同氏は、「プラートフ氏(容疑者)の話を聞きたいと思っているが、しかし、世界がどのような状況かご存知であろう。国内法は、容疑者不在でも本件の公聴を行なうことを認めている。そのため、同氏不在も新型コロナウイルス状況も本件公聴を妨害はしない」と発言した。

同日の公判では、容疑者4名のうちの1人、オレグ・プラートフ氏(露軍参謀本部情報総局特殊任務部隊所属・中将)の弁護士を務めるサビナ・テン・ドゥハテ氏は、公判の休廷を要請した。

同氏は、「私たちは準備のための時間が必要だ。捜査は6年も行われているが、私たちは捜査内容を数か月分析できただけだ。本件は深刻な捜査であり、一句たりとも見落とすことはできない。現在、私たちは3000ページ以上分析したが、案件には何千ページ、多くのファイルが含まれる」と発言した。また、同弁護士は、ロシア語、英語、オランダ語の通訳者を用意するよう要請していると強調した。

また、同氏は、新型コロナウイルスが弁護活動を制限していると発言し、弁護団はプラートフ容疑者との面会のためにロシアを訪問して、本件について協議する予定だったが、コロナウイルスのせいで実現できなかったと述べた。また、同氏は、オンラインでの同容疑者との対話は「通信傍受の危険がある。また彼はロシア語を話すため、通訳者が必要」なために、不可能に近いと主張した。

国際共同捜査チーム(JIT)にウクライナ側から参加している、ヒュンドゥズ・マメドウ検事副総長は、ウクルインフォルム特派員に対して、今回の公聴は7月3日まで続き、検察側が暫定総括を行なう予定だとコメントした。

マメドウ氏は、「オランダ検察の最新情報では、今回の公判は7月3日まで続き、原告・被告間の対話が予定されているという。検察はまた、今回複数の暫定総括を行い、捜査の詳細を説明する視覚化された情報を公開する。しかし、注意を向けてもらいたいのは、現段階では、検察は裁判にて全ての証拠を詳細に提示することはないということだ」と発言した。

マメドウ氏はまた、「日々『誰が罪人か』との問いへの答えに近づいていることを確信している。同時に、私たちは、この悲劇の全ての罪人が罰せられるよう、国内レベル、そしてJIT枠内で、捜査を継続していく」と発言した。

遺族の会のアントン・コッテ氏は、「原告側は、プロセスを加速させたいと思っているが、被告側は反対に、案件延期のための理由を探している」と指摘した。コッテ氏は、MH17撃墜事件で、息子と孫を失っている。

遺族の会のピット・プルーグ氏は、プラートフ容疑者の弁護士が休廷を要求したことは驚かないと指摘した。同氏は、「プラートフ氏の弁護士は、また法廷延期を要求している。私たちは、もちろんそれは予想していた。しかし、今後数日、検察が捜査に関するより詳細な情報を提示することになっている。私たちはそれを非常に待ち望んでいる。なぜなら、何が生じたかについて多くの情報を示すことになるからだ」と述べた。ピット氏は、事件で弟、甥、姪を失っている。

なお、公判は、6月9日にも開催される予定。

MH17の公判は、本年3月に始まった。しかし、新型コロナウイルス感染拡大を受け、3月の公判は、9日、10日、23日の3日間開催されたのみであった。

マレーシア航空機撃墜事件とは、2014年7月17日、アムステルダムからクアラルンプールへ向かっていたマレーシア航空機MH17がウクライナ東部ドンバス地方上空で武装集団により撃墜され、乗客・乗員合計298名全員が死亡した事件をいう。

2016年9月、国際共同捜査チーム(JIT)は、同事件の技術捜査の結果として、同航空機が、親露武装集団支配地域から地対空ミサイルシステム「ブーク」により発射された弾頭「9M38」により撃墜されたことを判明させていた。

同時に、民間調査グループ「ベリングキャット」は、MH17を撃墜した「ブーク」がロシア軍第53対空旅団発のものであることを判明させていた。ベリングキャットは、ソーシャル・メディアとオープンソース情報の独自の分析を通じて、MH17撃墜に関与した20名のロシア軍人を特定させた報告書を発表した。これら軍人の名前が写真付きで示されているこの報告書は、オランダの検察に渡されている。

2018年5月24日には、JITは、MH17を撃墜したロシアのミサイルの破片を公開しつつ、ミサイルがロシアのクルスクを拠点とするロシア軍第53対空ミサイル旅団に属するものであることが判明したと発表した。

なお、2019年6月、マレーシア航空機MH17撃墜事件の捜査を行う国際共同捜査チーム(JIT)は、同撃墜に関与した容疑者4名を公表しており、オレグ・プラートフ氏(露国籍)はその内の1人。JITは、プラートフ氏につき、地対空ミサイル・システム「ブーク」の移送に関与し、航空機の撃墜した地域の警備を担当した容疑を発表していた。

スキポール裁判コンプレクスは、ハーグから約50キロ離れた場所に位置する。


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