被占領地から強制連行のツェマフ氏、マレーシア航空機撃墜事件の重要参考人となる可能性あり=ベリングキャット

被占領地から強制連行のツェマフ氏、マレーシア航空機撃墜事件の重要参考人となる可能性あり=ベリングキャット

ウクルインフォルム
6月末にウクライナの特殊機関により被占領地から強制連行されたヴォロディーミル・ツェマフ氏が、マレーシア航空機MH17撃墜事件の決定的に重要な情報を有している可能性があり、オランダで行われる裁判にて最初の参考人となる可能性が指摘されている。

9日、英国を拠点に活動するオープン情報検証グループ「ベリングキャット」が発表した。

ベリングキャットは、「2014年7月17日のツェマフ氏の直接の役割が何であったのかとは無関係に、彼の逮捕は継続する共同操作チーム(JIT)の捜査と裁判プロセスに決定的な影響をもたらす可能性がある」と書かれている。

ベリングキャットの専門家たちは、2015年にツェマフ氏がインタビュー時に述べた、彼が地対空ミサイル・システム「ブーク」とその操縦者を隠すのを支援したという発言が確認できた場合、彼は主要な証言者となり得るし、もしかしたら、共犯と罪の隠蔽の容疑がかけられる可能性もあると主張した。

発表には、「仮に彼が航空機撃墜の日の自らの役割を誇張して述べていたとしても、彼は、地元対空防衛部隊指揮官という自身の立場で、十分な情報を有している可能性があるのであり、それにより彼は捜査にとって価値ある存在となっている」と指摘されている。

さらにベリングキャットは、ウクライナ側がツェマフ氏にMH17とは関係のない容疑をかけていることは無駄ではないと指摘する。彼らによれば、ツェマフ氏には、オランダでの裁判所で証言をすることで、ウクライナでの罪を免除するという司法取引が提案できるかもしれないというのだ。

ベリングキャットの専門家たちは、ツェマフ氏の証言はオランダにおける裁判審議の正当性を著しく補強することになる可能性があるとし、その理由として、ツェマフ氏が「DPR」の当時の現地の軍事作戦に直接関係する、初めて生きたまま拘束された人物だからだと指摘した。

専門家たちは、「彼のような役割を担った人間は、航空機撃墜当日の具体的出来事に光を当てることが可能なばかりか、さらには指揮系統全体にも光を当て得るかもしれない。そしてそれは、オランダの裁判にとって決定的な審査対象となるであろう」と強調した。

ベリングキャットは、ロシア側が、ツェマフ氏の証言の価値を下げるために、多大な努力を注ぐであろうことを警告しつつ、既に、ツェマフ氏は自白のために毒をもられた可能性があるなどの情報を拡散されていることを指摘した。その上で、ベリングキャットは、ツェマフ氏の証言が客観的な証拠で確認されることが決定的に重要となると主張した。

なお、これまでの報道にあるように、6月末、ウクライナの特殊機関が自称「DPR」の支配地域にて、スニージュネ市の元「対空防衛部隊指揮官」であるヴォロディーミル・ツェマフ氏を拘束していた。

弁護士によれば、ツェマフ氏は、6月28日に被占領地からキーウ(キエフ)に連行されており、同月29日にはキーウ市シェウチェンキウシキー地区裁判所にて未決囚予防措置として2か月間の逮捕判決を下されたとのこと。

ツェマフ氏の親族は、同氏にはウクライナ刑法典第258-3条1項「テロ・グループあるいはテロ組織の創設」の容疑がかけられているとし、罪が認められた場合、8年から15年の懲役刑が言い渡されると指摘した。

マレーシア航空機撃墜事件とは、2014年7月17日、アムステルダムからクアラルンプールへ向かっていたマレーシア航空機MH17がウクライナ東部ドンバス地方上空で武装集団により撃墜され、乗客・乗員合計298名全員が死亡した事件をいう。

2016年9月、国際共同捜査チーム(JIT)は、同事件の技術捜査の結果として、同航空機が、親露武装集団支配地域から地対空ミサイル・システム「ブーク」により発射された弾頭「9M38」により撃墜されたことを判明させていた。

同時に、民間調査グループ「ベリングキャット」は、MH17を撃墜した「ブーク」がロシア軍第53対空旅団発のものであることを判明させていた。ベリングキャットは、ソーシャル・メディアとオープンソース情報の独自の分析を通じて、MH17撃墜に関与した20名のロシア軍人を特定させた報告書を発表した。これら軍人の名前が写真付きで示されているこの報告書は、オランダの検察に渡されている。

2018年5月24日には、JITは、MH17を撃墜したロシアのミサイルの破片を公開しつつ、ミサイルがロシアのクルスクを拠点とするロシア軍第53対空ミサイル旅団に属するものであることが判明したと発表した。

本年6月19日、JITはさらに、マレーシア航空機MH17撃墜に関与した容疑者を公式に発表した。

JITが容疑者として発表したのは、レオニード・ハルチェンコ(ウクライナ国籍、「DPR」側で戦闘に参加)、セルゲイ・ドゥビンスキー(ロシア国籍、ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)大佐、兵器の使用計画の容疑)、オレグ・プラートフ(ロシア国籍、予備大佐、地対空ミサイル・システム「ブーク」の移送に関与し、航空機の撃墜した地域の警備を担当)、イーゴル・ギルキン(ロシア国籍、ロシア連邦軍元将校、ロシア連邦保安庁(FSB)元大佐、ロシアの対ウクライナ侵略に積極的に参加)の4名。


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