ロシアに不法に雇われたネパール人が少なくとも70人が対ウクライナ戦争で死亡=専門家
ネパールの専門家によれば、ロシアは様々な方法でネパール国民を対ウクライナ戦争のために不法に雇っており、その内少なくとも70人が死亡し、約100人が行方不明と見なされているとしつつ、同時に、実際の死者数は隠蔽されているという。
18日、ネパール国際協力・交流研究所のプラモッド・ジャイスワル研究室長がキーウで開催されている第3回国際会議「クリミア・グローバル:南を通したウクライナの理解」でのスピーチの際に発言した。ウクルインフォルムの記者が伝えた。
ジャイスワル氏は、ロシアが様々な手口でネパール国民をモスクワにおびき寄せ、ウクライナに送り込んで戦わせているいると指摘した。その際同氏は、ロシア人は「非常に魅力的な」条件、ビザ、高額な給与と保険に関する「空約束」を提示しているとし、それによって人々が詐欺と人身売買の犠牲になっていると伝えた。
さらに同氏は、例として、ネパール人がモスクワに到着すると、仕事が既に埋まっていると伝えられ、その後、軽微な犯罪などを理由に、脅迫と圧力を用いてロシア軍への入隊を強制されていると説明した。最初の事例は2023年5月に判明し、当時は2~3人だったが、その後その数は数十人に増加、2024年になるとさらに大幅に増加したという。
ネパールの報道機関と政府がこれに積極的に反応し、ネパール国民がロシア軍で服務することは禁止されているとして、ロシアに対し不法な採用を停止するよう要求したという。ジャイスワル氏は、しかし、その圧力にもかかわらず、ロシアの慣行は止められていないとし、また正確なデータはネパール政府もロシア政府も開示していないと述べた。
同氏は、「ネパール外務省のウェブサイトを見ると、70人の死者に関する情報がある。また、約100人の行方不明者に関する情報もある。しかし、これらのデータは、親族の行方不明に関連して連絡してきた家族の数と完全には一致していない。そのこともまた、政府にこの問題に取り組ませるための圧力を生んでいる」と述べた。
加えて同氏は、ロシアに採用されたネパール国民は1~2週間の軍事訓練を受け、その後すぐに前線に送られていると伝えた。同氏はその際、「衝撃的なことだ。彼らは消耗品として、人間の盾として利用されているのだ。そのことを理解することも重要だ」と強調した。
同氏はその他、ロシアは補償金を支払わないために、死亡したネパール人の遺体を返還せずに、「行方不明」と主張しているとも指摘した。
そして同氏は、本件はネパール社会と家族にとって非常に痛みを感じる問題であるが、「社会に衝撃を与えない」ことを目的に、関連の情報は完全には公開されていないと述べた。そのため、行方不明者の家族は、親族の帰還を求めてネパール政府に圧力をかけているという。インド政府が自国民をロシアとウクライナから帰還させているのに対して、ネパール政府の対応は遅く、不満が高まり、状況を激化させているという。
ジャイスワル氏はまた、一部のネパール人が既にロシア軍での服務についてネパールで判決を受けており、ネパールの市民社会がこの問題に積極的に取り組んでいると伝えた。
そして同氏は、カトマンズではウクライナへの関心が大幅に高まっており、戦争は両国を近付けており、両国は人々の保護と苦しみの終結のために協力するべきだと訴えた。
なお、17、18日、キーウでは、第3回国際会議「クリミア・グローバル:南を通したウクライナの理解」が開催されており、ウクライナや、アジア、アフリカ、中央・南アメリカの国々の代表者がディスカッションを行っている。
写真:プラモッド・ジャイスワル氏(フェイスブック)