歌手ジャマラさん、クリミア・タタール語の曲を発表

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2016年の欧州の歌謡祭「ユーロヴィジョン」にて優勝した、ウクライナのクリミア・タタール系歌手ジャマラさんが、クリミア・タタール語の曲「私を苦しみから解放して(Meni ğamdan azat eyle)」を発表した。

ジャマラさんは、アートプロジェクト「エメリ」の一環で同曲の発表を行った

曲について、ジャマラさんは、「私は、自身の人生において、クリミア・タタール語の歌がなければ何もできなかったと思っている。自分の創作した歌を歌う時も、他の歌を歌う時も、基盤はそれ(編集注:クリミア・タタール民族の歌)だ。私は、深みを知る必要がある時や困難や技術を見つけなければならない時はいつも、クリミア・タタール人の歌に触れる。クリミア・タタール人の歌の中には、全てがある。そこには宝物があるのだ。開いてみて欲しい」と伝えた。

プロジェクト参加者たちは、このジャマラさんによるアカペラ曲は、聞くものを何世紀も続く、独自のクリミア・タタール文化遺産の世界に導くと説明している。

ジャマラさんは、「アカペラで歌うというプロジェクト参加者たちのアイデアを、私はとても気に入った。声は、とても強力な手段だ。歌い手たちは、ドラム、ベース、オーケストラの中に加わることができるが、それらは全て絵の具に過ぎない。声が人々の中にエネルギーと感情を呼び起こすのであり、声が鮮やかな色と陰影を加えるのだ」と説明した。

また、このクリミア・タタール語の曲「私を苦しみから解放して」は、もともと謎の多い民謡の一つとして知られているものだという。歴史家たちは、その歌は、17、18世紀に活躍したクリミア・タタール人詩人のアシク・ウメルの作品の一つだと考えている。歌詞には、愛するひとへの気持ちが描かれている。

なお、市民団体「アレム」のアートプロジェクト「エメリ」は、ウクライナ文化基金の支援を受けて、現代のウクライナ人やクリミア・タタール人のアーティストによる10の曲を作るプロジェクト。現代的にアレンジされたクリミア・タタール人の無形文化遺産の普及を目的としている。

「エメリ」で演奏される曲は全てクリミア・タタール語で歌われる。同時に、それぞれの歌には、ウクライナ語への翻訳が行われる。