米、ウクライナに和平計画案を手交 「ウクライナには3度目の侵攻で壊れないような平和が必要」=ゼレンシキー氏

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ウクライナのゼレンシキー大統領は20日、米国から戦争終結案を受け取ったと報告した。その際同氏は、ウクライナには、独立、主権、ウクライナ国民の尊厳が尊重された上で、3度目の侵攻によっても壊れないような真の平和が必要だと訴えた。

ゼレンシキー大統領が同日夜の動画メッセージで伝えた

ゼレンシキー氏は、「今日、私は、米国代表者と会談した。重要な代表団で、非常に真剣なやりとりがあった。米国側は自らの提案、戦争を終結させる計画の項目、彼らのビジョンを渡した。私たちは戦争の最初の日々から、1つの、極めてシンプルな立場を取っている。それは、『ウクライナには平和が必要だ』というものだ。3度目の侵攻でも壊れないような真の平和だ。私たちの独立、私たちの主権、ウクライナの人々の尊厳への尊重を伴った条件が生じるような、尊厳ある平和だそして、私たちは正にそのような条件を確保せねばならない」と強調した。また同氏は、そのような立場は原則的なものだと指摘した。

同氏はさらに、ウクライナ、米国、欧州と世界のパートナーたちは、平和に関する提案の作業を行う準備があると発言し、今週欧州の首脳たちと多くの対話があり、努力が調整されたと補足した。

そして同氏は、「私は、近日中にトランプ大統領と話すことを期待している。私たちは、米国の力と米国の支援が平和を真に近付けることを認識しており、私たちはそれを失いたくはない。私たちは、ロシアには平和の真のビジョンがないことも理解している。そうでなければ、彼らはこの戦争を始めることはなかったのだ。多くの、全くもって公正な評価がある。それは、ロシアはこの1年間1つのことだけを実行しようとしてきたというものだ。それは、制裁を先延ばしし、戦争のための時間を稼ぐ、というものだ。米国には、ロシアの戦争終結への態度を最終的に真剣なものとさせるだけの力がある」と強調した。

これに先立ち、ゼレンシキー大統領は同日、キーウに手ドリスコル米陸軍長官と会談し、その際、米国の評価では「外交を活発化させ得る」内容だとする和平計画案を受け取っていた。

ウクライナ大統領府の発表によれば、ゼレンシキー氏はその際、ウクライナ国民にとって重要な原則的な基本事項に言及した。また、双方は、会談の総括として、戦争の尊厳ある終結をもたらすように、計画の項目に取り組んでいくことで合意した。

ゼレンシキー大統領は、ウクライナはロシアの侵攻の最初の瞬間から平和を希求しており、真の平和を近付けることができる全ての中身のある提案を支持していることを強調した。

またゼレンシキー氏は、近日中にトランプ大統領と、現存する外交面の可能性と平和に必要な主要項目について議論することを期待していると述べた。同氏はさらに、「私たちはトランプ大統領、米国、全米国民に深く感謝している。私たちは、このような強力なパートナーがいるからこそ、強固に立てている」と述べた。

その他同氏は、ウクライナのニーズのために、防空システムをはじめとする米国の兵器を調達するための「PURL」プログラムの実現の重要性を改めて指摘した。

ドリスコル氏は、トランプ大統領と大統領チームがウクライナを非常に尊敬していると指摘した。同氏はまた、ウクライナ人が祖国を英雄的に防衛していることに感嘆の意を表した。

同時にゼレンシキー氏は、ロシアが今のところウクライナに対する侵略を止める意向を示しておらず、重要インフラや民間の施設への攻撃を続けていると強調した。その際同氏は、「昨日、彼らは私たちのウクライナ西部を攻撃した。非常に多くの人が死亡した。特に凄惨な悲劇がテルノーピリで生じた」と報告した。

同氏はそして、ロシアがテルノーピリの攻撃に使用したミサイル「Kh101」に含まれる外国製部品に関する情報をドリスコル氏に手交した。大統領府によれば、そのミサイルは今年製造されたもので、とりわけ米国、ドイツ、中国・台湾、オランダ、日本、スイス、英国といった国々の部品が含まれているという。

ゼレンシキー氏は、様々な国の企業が製造する部品なしには、ロシアはそのようなミサイルを製造する能力を持てなかっただろうと訴え、したがって、制裁圧力を強化し、そのような部品がロシアに渡る可能性のある全てのルートを遮断することが極めて重要だと訴えた。

写真・動画:大統領府