議会選挙前のモルドバ、政府が同国首相がガス料金値下げを約束する「ディープフェイク」動画の存在を報告
モルドバのヴォデ政府報道官は9日、レチェアン同国首相の姿で、議会選挙前にガス料金の値下げを約束するディープフェイク動画が拡散されていると警告した。
ヴォデ報道官がテレグラム・チャンネルで報告した。ポイントが報じた。
拡散された動画はAI技術を使って作られたもので、あたかもレチェアン・モルドバ首相がガス料金の値下げを約束しているような内容となっている。動画は、フェイスブックやユーチューブでアクセス可能な状態になっているという。
ヴォデ報道官は、この動画は有料サービスで拡散されているとし、エネルギー部門の料金に関する偽情報を広めることが目的だと指摘した。
ヴォデ氏はモルドバ国民に対して、「注意して欲しい。首相や他の公的人物が出てくる発表を見かけたら、それらが国家機関の公式チャンネルで公開されているか常に確認してくれ」と呼びかけた。
また同氏は、ディープフェイクを見分ける方法としては、唇の動きが音声と一致しない、不自然な表情、発話に間があったり、不自然なアクセントがあることだと指摘した。
ディープフェイクとは、AIを用いて生成された偽の画像、映像、音声のことを指す。
なお、モルドバでは、9月28日に議会選挙の投票日を迎える。
同選挙に関して、モルドバのサンドゥ大統領の安全保障担当補佐官を務めるスタニスラフ・セクリエル氏は8月上旬に、選挙への介入の試みとして、ロシアがモルドバ国外の欧州各地で暮らすモルドバ国民を対象として偽情報拡散を活発化していると発言していた。
日本の石破首相は今月1日、モルドバのレチェアン首相と会談し、同国で今月28日に投票の実施が予定されている議会選挙の情勢などにつき協議し、その際、双方は、「同選挙の民主的な実施が地域や国際社会の安定にとって重要であるとの認識で一致」していた。
7月には、モルドバ首都キシナウで第1回欧州連合(EU)・モルドバ首脳会議が開催され、その際に採択された共同宣言では、ロシアによるモルドバの選挙への介入の試みに特に注意が払われていた。
同共同宣言には、「モルドバの未来は、外部圧力、外国からの干渉、印象操作なしに、モルドバ国民によって自由かつ民主的に決定されねばならない。私たちは、モルドバの民主的な選挙を破綻させることを目的とした、ロシアによる恒常的かつ増大するハイブリッド脅威、情報環境への操作と干渉、そして現地の仲介者を通じた大規模な選挙不正スキームの利用を断固として非難する」と書かれている。