露侵略によりウクライナ国民が被った損害登録の作業開始

2日にハーグで開催された国際会議「ウクライナのための正義の回復」の際に、ロシアによる対ウクライナ侵略により被った損害の登録機関への申請登録作業の開始が発表された。

ムードラ大統領府副長官(司法担当)がウクルインフォルムの特派員に伝えた。

ムードラ氏は、「この瞬間は歴史的だ。私個人にとっては、さらに感情的な瞬間でもある。というのも、全面侵攻が始まってすぐ、私たちは複数の法律家とともに、この侵略で被害を受けた人、被害を今後受ける人たちが、損害、ダメージ、損失の補償を受け取るためには、どこに問い合わせられるのか、ということの案を作成し始めたのだ。判明したことは、残念ながら、現行の補償受け取り法メカニズムでは、不十分だということだった。率直に言うならば、それは全然なかったのだ。そのため、5月初頭には、大統領令により、アンドリー・イェルマーク大統領府長官を筆頭とする作業部会が設置された。作業部会は、私たちの国民が補償を受け取るために利用できる国際司法メカニズムを作ることを課題とした。そして、私たちは今日、申請書を受け取るための『登録』の作業を開始し、『登録』の利用を開始したのだ。それは、1つ目のカテゴリーの被害者は今後、その『国際損害登録』へと申請書を提出できるようになることを意味する」と発言した。

同氏はまた、「登録」はロシアの武力侵略の被害者の損害補償の申請を受け取り始めるとし、今のところは1つのカテゴリー(住居資産の損壊あるいは破壊)のみが対象だが、今後40以上のカテゴリーが対象となっていくと説明した。

その際同氏は、「現時点で、登録理事会が損害カテゴリーをすでに確定している。それは40以上ある。損害カテゴリーは、3つの主な主体を対象とする。個人、法人、国家ウクライナだ。私たちは、ロシア連邦がいわれのない侵略で国家ウクライナ、ウクライナ国民、ビジネスに対してもたらした損害は数千億ドル(数十兆円)だと話している。世銀と国際機関の最近の報告によれば、暫定損害額は4860億ドルである。そして、それは個人の損害は考慮されていない。つまり、国家のレベルの評価だけである。私たちは、この数字は少なくとも2倍にはなると確信を持って認めることができる。よって、総額をカバーするためには、現在別の法空間にある資産でも十分ではない」と発言した。

これに先立ち、2023年5月17日、アイスランド首都レイキャビクにて開催された欧州評議会首脳会談にて、43か国と欧州連合(EU)の代表者がロシアの対ウクライナ侵略で生じた損害を記録する機関設置に関する合意文書に署名していた。日本は、連合国ステータスで署名している。

損害登録機関は、政府間協力のためのプラットフォームとして設置され、欧州評議会の機構内で運用されるもの。登録機関は、オランダとウクライナの国内法に従った法人となり、オランダに位置すると説明されている。