サンドゥ・モルドバ大統領、プリゴジン氏がモルドバ政権転覆を企図していたと発言

モルドバのサンドゥ大統領は、8月に死亡したロシアの傭兵集団「ヴァグネル」の創始者イェフゲニー・プリゴジン氏が、2023年初頭にモルドバで政権転覆を企図していたと発言した。

モルドバのニュースサイト「ニュースメーカー」がサンドゥ大統領のフィナンシャルタイムズへのインタビューをもとに報じた

サンドゥ氏は、「私たちが保有する情報によれば、それは(編集注:プリゴジン氏の)チームが企図した計画だった。彼らは、反政府抗議運動が暴力的なものになることを望んでいたのだ」とし、他方、その転覆計画は防ぐことができたと発言した。

同氏はまた、ロシアはモルドバへの圧力を増すつもりだと述べ、「彼らはエネルギーを利用しようとしていたが、うまくいかなかった。彼らは政権を転覆させようとしたが、それもうまくいかなかった。そして現在、彼らは大金を投入して私たちの選挙に大規模に介入しようとしている」と指摘した。

また、記事では、欧州連合(EU)が今年5月に親露オリガルヒ(大富豪)のイラン・ショル氏に対して「モルドバ情勢の不安定化」を根拠に制裁を発動し、その1か月後にはモルドバにてショル氏の政党が違憲と認定されたこと、さらに先週サンドゥ大統領が欧州の首脳たちに対して、ショル氏と関係があり、同氏がモルドバへの資金持ち込みに利用している企業に対して制裁を発動するよう要請したことが解説されている。

サンドゥ氏は、「私たちは、ロシア人がボクサーグローブをはめている時、彼らとチェスをプレーすることはできないのだ」と発言した。

また同氏は、モルドバの情報機関は、ロシアが政治的目的に使うため、モルドバに持ち込んだ金額を少なくとも2000万ユーロは把握しているとしつつ、実際の金額はもっと多いと指摘した。

そして同氏は、「彼らが資金持ち込みのために利用してきた手段は非常に多様だ。一定期間、私たちは、モルドバ国民がモスクワへジョージアを経由した飛行機で送られるのを見てきた。そして、それらの人物1人1人が1万ユーロずつを手にして戻ってきたのだ。最近、私たちは、彼らがドバイで発行された銀行カードを持ち込んでいるのを目にしている。彼らは何千というカードをばら撒いている。買収しようとする人々のための銀行カードである」と発言した。

なお、今年2月、サンドゥ大統領は、ロシアがモルドバにて、野党抗議者を利用し、軍事的訓練を受けた人物を関与させる形で政権転覆を計画していると発言していた。

また、サンドゥ氏のこの発言に数日先立ち、ゼレンシキー宇大統領がブリュッセルでの欧州理事会の会合の際のスピーチで、ウクライナの情報機関が「ロシアの詳細なモルドバ政治情勢不安定化計画を入手することに成功した」ことをサンドゥ・モルドバ大統領に伝えたと発言していた。

この発言は、モルドバ情報機関が認めている。他方、ロシアはこの情報を否定した。