G7大使、ウクライナの裁判改革の進展に懸念表明

G7大使ウクライナ・サポート・グループは、裁判官評議会に対して、高等司法評議会のメンバーの専門倫理と公正さの基準を調査する「倫理評議会」のメンバー候補者の選出を急ぐよう要請した。

23日、G7大使グループがツイッター・アカウントにメッセージを掲載した

メッセージには、「G7大使たちは、ウクライナの裁判改革のプロセスを懸念を持って観察し続けている。大使たちは、国際パートナーが高等司法評議会の倫理評議会への自らの候補者を選出した後、裁判評議会による自らの候補者選出スケジュールに失望を持って注意を向けている」と書かれている。

大使たちは、裁判評議会の提案するスケジュールは、同改革の重要性も緊急性も反映されていないとし、裁判評議会と全てのウクライナ側パートナーに対して、倫理評議会メンバー候補の迅速な選出を確保するよう呼びかけ続けると書き込んだ。

さらに大使たちは、最高会議に提出されている「憲法手続き法案」(第4533)にも懸念があるとし、「憲法裁判所改革は、ベニス委員会の勧告に従った上で、新しい憲法裁判所裁判官の透明かつ競争のある選出を確保し、一時的な投票要件の増加を保証しなければならない」と指摘した。

大使たちは、包括的裁判改革がG7にとっての最重要優先課題であり、ウクライナにおける全ての改革の成功にとって決定的な意味を持つものであり、ウクライナの人々の要求を履行するものだと指摘した。また、これらの改革の実行は、投資環境と国際義務の履行能力を改善するものとなるとも指摘している。

これに先立ち、8月3日、ゼレンシキー大統領は、裁判改革を実現するための重要法とされる、高等裁判官選考委員会再編法(第3711ーd)と、高等司法評議会再編法(第5068)に署名し、発効させていた。両法は、国際専門家を参加させた上でのウクライナ司法政権の人員刷新を定めている。

とりわけ、高等司法評議会再編法は、高等司法評議会のメンバーの公正性の調査手続きを定め、また裁判官に対する懲罰手続きも変更するものとなっている。「高等司法評議会」とは、裁判官の任命や、裁判官への懲罰、解任を最終的に決定する、司法システム上の重要機関である。同法は、「倫理評議会」の設置を定めており、同評議会は、ウクライナ裁判官評議会が定める裁判官あるいは退官裁判官から計3名と、国際機関が定める3名(国際専門家)の計6名で構成される。この際、倫理評議会では、「公正選考委員会」同様、国際専門家が決定的投票権を得る。

この倫理評議会は、高等司法評議会のメンバー候補の専門倫理と公正さの基準を調査、及び評議会設立後3か月以内に高等司法評議会現職メンバーの専門倫理と公正さの基準を調査する。倫理評議会は、評価に応じて現職メンバーの解任勧告を行うことができる。

すでに、EU、欧米諸国などが同法に従い、「国際専門家」をウクライナ側に提案しているが、しかし、9月13日、ウクライナ裁判官評議会側は、倫理評議会への自らの代表者を送ることを拒否。9月21日、裁判官評議会は、10月21日までの候補者募集の開始を発表していた。