オランダでMH17撃墜事件審理継続 遺族8名が証言

14日、オランダのスキポール裁判コンプレクスにて、2014年7月のウクライナ東部にて撃墜されたマレーシア航空MH17便撃墜事件裁判の内容面審理が再開され、犠牲者遺族8名が証言を行った。

ウクルインフォルムのハーグ特派員が伝えた。

事件で息子夫妻を失ったオランダ国民のペネンブルグ夫妻は、「彼らは、私たちに、私たちの人生に何をしたのか、聞かなければならない」と強調し、MH17撃墜がなければ、彼らの息子は2週間後に25歳になるはずだったと述べた。二人は、自分の息子とその妻だけでなく、事件で亡くなった298名の死を想い、泣いていると伝えた。

また夫妻は、「私たちは、ロシアが耳を傾けることを望んでいる。被告人には、話をし、責任を負うことを要請する」と強調した。

なお、審理の本段階では、90人以上の遺族が証言を行うことになっている。

マレーシア航空機撃墜事件とは、2014年7月17日、アムステルダムからクアラルンプールへ向かっていたマレーシア航空機MH17がウクライナ東部ドンバス地方上空で武装集団により撃墜され、乗客・乗員合計298名全員が死亡した事件をいう。

2016年9月、国際共同捜査チーム(JIT)は、同事件の技術捜査の結果として、同航空機が、親露武装集団支配地域から地対空ミサイルシステム「ブーク」により発射された弾頭「9M38」により撃墜されたことを判明させている。

同時に、民間調査グループ「ベリングキャット」は、MH17を撃墜した「ブーク」がロシア軍第53対空旅団発のものであることを判明させていた。ベリングキャットは、ソーシャル・メディアとオープンソース情報の独自の分析を通じて、MH17撃墜に関与した20名のロシア軍人を特定させた報告書を発表した。これら軍人の名前が写真付きで示されているこの報告書は、オランダの検察に渡されている。

2018年5月24日には、JITは、MH17を撃墜したロシアのミサイルの破片を公開しつつ、ミサイルがロシアのクルスクを拠点とするロシア軍第53対空ミサイル旅団に属するものであることが判明したと発表した。

なお、2019年6月、マレーシア航空機MH17撃墜事件の捜査を行う国際共同捜査チーム(JIT)は、同撃墜に関与した容疑者4名(イーゴリ・ギルキン(ロシア国籍、ロシア連邦軍元将校、ロシア連邦保安庁(FSB)元大佐)、セルゲイ・ドゥビンスキー(ロシア国籍、ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)大佐)、オレグ・プラートフ(ロシア国籍、予備大佐)、レオニード・ハルチェンコ(ウクライナ国籍))を公表している。

MH17の公判は、2020年3月に始まっている。

同捜査は現在も続いている。2021年9月2日、JITは、撃墜に用いられた地対空ミサイルシステム「ブーク」の搬送元であるロシアの都市クルスクにおける、証拠となる写真、動画、公的文書などの情報提供を呼びかけるメッセージを発表した。